トルチェの呟き -さみしさのつれづれに-

トルチェの呟き -さみしさのつれづれに-

2024.02.12

2/12:うちのかめさん

うちの事務所のかめ先輩
モモに掲載されているカシオペアの挿絵

当社は「トルチェ」と申します。フランス語で「亀」を意味します。わたしが、この介護事業を行ううえで「亀」をモチーフにしたのは、児童文学書の「モモ」から由来しています。

大学生のときに、先生が「モモ」のお話をされていて、ずっと気になっていました。おっさんになって、子供が読む前に読まねばとおもい読んでみました。その内容には、いま自分が向き合っている様々な事象がリアルに描かれていました。

主人公のモモちゃんは、ある特別なちからをもっています。彼女はひとの話を聞くことがとっても上手で、自然とみんなが集まってきます。彼女と話すことで、みな元気になります。作家が表現したいのは、ひとのはなしを聞く、ひとが自分のことを真剣に話す場を作ることは、とても貴重で価値あるものだと言いたいんだと私は感じました。

わたしたちは、この介護の仕事において「傾聴」という言葉を知っています。私はときおり「お聞きすることはむつかしくない」と思っているんじゃないかと感じることがあります。ひとの話を聞く、認知症のかたの心の中を想像する、疾患のある人の痛みに共感する、離れた家族、なじみだった場所を思うさみしい気持ち。私は高齢者を弱者だとは思いませんが「失ったもの・さしせまる現実」に対する共感を覚えることは、とても価値あることだと思います。

作品の中にでてくる「時間どろぼう」は、まさに今を映していると感じました。わたしたちは、自分をコントロールしているつもりでも、実際は「灰色のおとこたち」に時間も行動も支配されているように感じます。

そんな混乱した世界にいるモモちゃんを道案内してくてれるのが、亀の「カシオペイア」です。このかめさんは「ひととは違う時間軸を生きる生き物」としてえがかれていて、モモちゃんに30分ほどの先のことを甲羅に文字を浮かべることで教えてくれます。ほんのちょっと先をときどき見せてくれて、そばにいてくれます。心強い存在です。

モモちゃんもカシオペイアもすばらしい存在だと思います。高齢者が過ごす毎日に接するなかで、ほんの少し先をいっしょに考えて、いっしょに歩く。わたしたち介護職はそんな存在なんだと思います。うちのロゴのすこし上に星を描いています。わたしたちはお客様とその星を一緒にみつめています。